『現場の声を生々しく』
さすが、実際に中学生とむかいあっている人の意見と感心しました。実際に魚住さんが見てきた中学生の生態と、アンケート調査から見えてくるものをうまく分類して、非常に読みやすい本になっています。
子どもの発達へのメディア依存の影響については、人体実験をするわけにもいかず、実際、脳をしらべることもできず、はっきりと証明しずらいところがあります。しかし、実際に子育て途中の私たちには、危険が証明されていないからといって、放っておくわけにはいかない問題です。実際、ゲームやネットで暴力的シーンに慣らされてしまうこと(ゲームなら見るだけでなく自分が能動的に関わることのこわさ、ネットなら、一人でこっそり残虐な映像を覗き見できることのこわさ)が、犯罪の低年齢化に全く関係が無いと主張することは難しいと思います。もちろん、全く影響を受けない人もいるでしょうが、誰もが絶対影響を受けないと言い切れるでしょうか。
この本は魚住さんが現場で感じた不安を、うまく伝えていると思います。子育て中の保護者にはぜひ一度、読んでみてほしいです。彼女は禁止ということは言ってません。ただ、ただ、親に子どもの寂しさに気付いてやってほしいと訴えているだけです。